特集 新型コロナ 子どもの心への影響探る(冨森臨床心理士インタビュー)


先日阿武隈時報の溝井さんからご依頼があり、新型コロナに関してのインタビューを受けました。

その時の記事が4/15の紙面に掲載されました! 紙面では紙幅の都合で一部のみの掲載ですが、ネットページには全文掲載されておりますので是非ご覧ください。





新型コロナウイルス対策で須賀川市や鏡石町などの小中学校でも臨時休校が続き、通常の学校生活が送れない子どもや保護者にも少なくないストレスの影響が懸念されている。阿武隈時報社は、tette向かいの子育て支援施設「TUNAGU」の代表で震災・原発事故後に子どもや親の心のケアに取り組んできた「NPOハートフルハート未来を育む会」理事長の冨森崇臨床心理士にインタビューを実施した。

―須賀川・岩瀬の子どもたちも3月から様々な我慢を強いられています。子どもたちにはどんな影響があるでしょうか?  一般的に、子どもは長期間ストレスにさらされると、まず集中力の低下が考えられます。また普段より落ち着かずミスをしてしまったり、大人にも言えることですが、感情の沸点が低くなったりもします。その際に、ただそのミスだけを注意されると「自分のことをわかってくれない」と余計にストレスをためる悪循環にもつながりかねません。そのほかに、時間が多くあるときに周りにパソコンやスマートフォンなどしかないと、心の拠り所がメディアに移ってしまい、親から叱られても反応が薄いなど、直接的な人との関わりの大切さが軽く感じられるようになってしまう可能性もあります。

―そうした子どもたちに必要なケアはあるのでしょうか?  子どもにとって最も身近な家庭が、不安や恐怖などネガティブな感情から「自分を守ってくれる」と感じられる「安全基地」となっていること、その不安などの感情を受け入れてホッとさせる機能を持つ「安心基地」であること、2つの基地機能がある関係を築くことが大切です。  子どもは周りの大人が言葉をかけてくれた、共感してくれたという安心感の中で、感情を成長させていきます。子どもの気持ちを言葉にして伝えてあげることで、子どもは自分の状態を知り、また大人が不安を受け止めてくれるということを学びます。

―学校再開後はどういったことが必要でしょう?  ぜひ取り組んでほしいのは子どもたちの心のケアです。震災後にも行った学級ミーティングも有効だと思います。子どもたちを教室に集めて、一人一人自分の言葉で思ったこと、感じたことを伝え合い、共感し合う方法です。  気持ちをシェアできれば、いずれ「自分たちはそういう中でもやってこれた」という思い出にできるんじゃないかと思います。

―子どもたちに向けてメッセージをお願いします。  皆さんは人生の中で体験できるかできないか、という時代を生きています。新型コロナのこの状況を自分たちがどう生きたか、ということをきちんと記憶として刻んでいってほしいです。心の傷ということではなく、「自分はこうしてやってきたんだ」という自負、プライドにつなげてもらえたらと思います。  行事なども中止になってショックで悲しくなり、なんで自分たちばかり、という思いもあるでしょう。だからこそ、そういう思いを吐き出し、まわりの大人にはそれを受け止めてほしいです。

―新型コロナウイルスによる保護者への影響はどのようなものが考えられますか?  新型コロナウイルスの恐怖と不安、生活への不安がのしかかり、憂うつになっている人もおり、私のところにも「身近なことにどうもやる気が起きない」という相談が寄せられます。  私は、目に見えない新型コロナウイルスの不安が、9年前の原発事故の放射線不安とオーバーラップする部分があると感じています。  今回の不安の奥底に9年前から実は癒やされず処理しきれなかった放射線不安が重なっているのではないかとも疑ってもいます。 そうした気持ちを吐き出せない、共有できないことが保護者のイライラを募らせ、例えば子どもに対してすぐに怒りが出てしまうなど、日常であれば表に出ない個人の抱える課題が揺さぶられる可能性もあるかもしれません。

―保護者への支援としてはどんなものが考えられるでしょう?  原発事故当時は、放射線に対して不安を抱える保護者をケアするため、親子ふれあい教室というものを開き、親子で遊ぶことと、保護者を小グループに分けて臨床心理士が話を聞く、という試みをしました。  今回は感染予防で一つの場所に集まれないので、保護者同士で不安を吐き出し合い、感情を共有できる場を、インターネットを通じたビデオ会議(Zoomなど)を活用して定期的に設けられないかと考えています。  また、自分自身を癒やすセルフケアに限界はありますが、ある程度は有効でもあります。  方法はヨガやアロマテラピーなど、それぞれ自分に合うものを行うのが良いのですが、その一つにセルフタッピングというものがあります。  身体を左右交互にタッチすることを基本とするタッピングタッチというケアの応用ですが、誰でもできて不安やストレス、不眠などを和らげる効果があるとされるもので、震災のときも広範囲で活用されていました。詳しい方法はタッピングタッチ協会のホームページ(https://www.tappingtouch.org/)の動画を参考にしてください。

―そのほか、保護者へのアドバイスは?  今はどんどん不安の貯金をしているような状態の人もいると思います。「新型コロナウイルス」の話題を見たくない、話したくないと避けることもあると思います。  ですが、気持ちを吐き出せるときは自分の気持ちに嘘をつかないことも大切です。不安がっているのに「不安じゃない」というのはおかしいじゃないですか。その不安を話せて共感し合える人がいたら理想ですよね。  家族や友人など周囲の人が、保護者の気持ちにも共感し、受け止めてあげるのも大切だと思います。「大変だよね。心配だよね」という一言でもちょっと不安が軽減します。


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